昨日に引き続き、税制改正大綱の消費税関連のまとめです。

消費税の軽減税率に関する内容が中心となります。

制度が複雑になり、インボイス制度のあり方には、益税問題など今後議論すべき必要性を感じます。

 

Ⅳ.消費税

1.軽減税率
(1)制度の概要
平成29年4月1日から飲食料品と一定の新聞について8%の軽減税率を導入する。また、複数税率制度の下において適正な課税を確保する観点からインボイス制度(適格請求書等保存方式)を平成33年4月1日から導入する。

(2)対象品目
(ア)酒類及び外食を除く飲食料品
(イ)定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞

2.インボイス制度導入までの経過措置
(1)請求書等の記載
消費税の仕入税額控除において、インボイス制度導入(平成33年4月1日)までは現行の請求書等保存方式を維持する。ただし、軽減税率対象品目に係る請求書等の記載事項として下記2点を追加する。なお、下記事項については、当該請求書等の交付を受けた事業者が事実に基づき追記することを認める。
(ア)軽減対象課税資産の譲渡等である旨
(イ)税率の異なるごとに合計した対価の額

(2)中小企業者の簡便計算
基準期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者のうち、売上又は仕入を税率の異なるごとに区分することが困難な事業者は、平成29年4月1日から平成33年3月31日までの期間、売上税額又は仕入税額を一定の簡便法な方法により計算することができる

(3)中小企業者以外の事業者の簡便計算
売上又は仕入を税率の異なるごとに区分することが困難な事業者のうち、基準期間における課税売上高が5,000万円を超える事業者は、平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間について、売上税額又は仕入税額を一定の簡便的な方法により計算することができる。

3.インボイス制度
(1)インボイス制度の概要
原則として、事業者(免税事業者を除く)のうちインボイス交付事業者として税務署に申請し登録を受けた事業者から交付されたインボイスを保存する場合に限り、消費税納税額の計算において仕入税額控除を適用できるものとする。ただし、公共交通機関や自動販売機等からの一定課税仕入れは、帳簿への記載のみで仕入税額控除が認められる。なお、平成33年4月1日以後に事業者が行う資産の譲渡等から適用する。

(2)免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置
インボイス制度導入後に免税事業者から行った課税仕入れについては、下記期間に限り一定の請求書等の保存を要件に下記金額を仕入に係る税額として仕入税額控除する。

H33.4.1~H36.3.31  課税仕入れに係る消費税額×80%
H36.4.1~H39.3.31  課税仕入れに係る消費税額×50%

4.高額資産を取得した場合の仕入税額控除の見直し
(1) 簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に高額資産(税抜1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産)の課税仕入れ等を行った場合には、高額資産の課税仕入れ等の日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間までの間は、免税事業者制度及び簡易課税制度を適用しない。

(2) 自ら建設等した資産については、建設等に要した費用の額が税抜1,000万円以上となった日の属ずる課税期間から当該建設等が完了した日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間において、上記(1)の措置を講ずる。

(3) 上記改正は、平成28年4月1日以後に高額資産の課税仕入れ等を行った場合について適用する。ただし、平成27年12月31日までに契約を締結している場合は適用しない。

Ⅴ.その他

1.機械装置に係る固定資産税の軽減
中小企業者等が平成31年3月31日までの間において、一定の機械装置の取得をした場合には、当該機械装置に係る固定資産税の課税標準を最初の3年間価格の2分の1とする。

2.国税クレジットカード納付の創設
国税の納付手続について、平成29年1月4日以後の納付分からクレジットカードによる納付を可能とする。

3.加算税の見直し
加算税制度を見直し、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税から下記を適用する。

(1) 税務調査に係る事前通知後からその調査による更正等を予知する前までの間に修正申告又は期限後申告を行った場合の加算税の税率を引き上げる。
ただし、相続税等について遺産分割が確定するなどして任意に行う修正申告等、源泉所得税の不納付加算税等は引上げの対象としない。

区 分          現行       改正案
過 少 申 告       0%      5%(10%)
無 申 告         5%      10%(15%)
※( )書は、加重される部分に係る加算税の割合。例えば過少申告の場合、期限内申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分が( )書の税率となる。

(2) 過去5年以内に無申告加算税(更正予知に限る)又は重加算税を課された者が、再び無申告又は仮装・隠蔽に基づく修正申告書の提出等を行った場合は、加算税10%重くする。

区 分          現行        改正案
無申告加算税     15%(20%)   25%(30%)
重加算税       35%        45%
重加算税(無申告)  40%        50%

 

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