経営者が、売上増でも利益が残らず、利益率改善の優先策を判断したいなら、売上拡大より粗利改善が会社体質を強くする

利益が残らない会社が最初にやるべきは、売上を増やすことではありません。粗利率を上げることです。理由は明確。売上を10%伸ばすより、粗利率を3%上げるほうが、手元に残るお金は増えることが多いからです。対象は、売上は伸びているのに「お金が残らない」と感じている社長。何から手をつければいいか、優先順位を整理します。

取りかかる前に知っておきたい3点

  • 売上増より粗利改善が先。 売上を追うほど忙しくなるのに残らない、が起こります。
  • 粗利の悪い商品を特定する。 全部を平均で見ると、足を引っ張る存在が隠れます。
  • 値上げと原価、両方から攻める。 片方だけでは限界があります。

この記事の結論

  • 売上拡大は、利益率が低いまま増やすと「忙しい貧乏」になる。
  • 改善の起点は、商品・サービス別の粗利率を見える化すること。
  • 値引きの常態化が、利益を静かに削っている最大の犯人。
  • 粗利1%の改善が、年間の手残りを大きく変える。

なぜ売上より粗利率なのか

売上を追うと、忙しいのに残らない

正直なところ、売上が増えれば利益も増える、というのは半分しか正しくありません。利益率の低い仕事を増やすと、仕事量と経費だけが膨らみ、手元に残るお金は変わらない。むしろ減ることもあります。

ある加工業の社長は、前年より売上を15%伸ばして喜んでいました。でも来所されたとき、預金は減っていた。理由は、大口客の値引き要求を飲み続けたこと。売上は増えたのに、粗利率が落ちていた。「忙しいだけで、ちっとも楽にならない」とこぼしていました。

商品ごとの粗利率を見える化する

ここが転換点です。会社全体の粗利率を見ても、改善点は見えません。商品・サービス別に分けて初めて「これは儲かる、これは赤字すれすれ」が見えてくる。

中小企業庁の調査でも、利益体質の良い会社ほど「商品別の採算を把握している」傾向があります。当事務所でこの作業をすると、社長が「えっ、この主力商品、こんなに利益薄かったの」と驚くことは珍しくありません。

値引きが、利益を静かに削っている

実は、利益を一番削っているのは値引きです。100円の商品を10%値引きすると、粗利が30円だった場合、利益はいきなり3分の2に減る。売上の10%引きが、利益の30%以上を吹き飛ばすこともある。この感覚を持つだけで、安易な値引きが怖くなります。

利益率改善でやりがちな失敗

とにかく経費を削ろうとする

よくあるのが、利益が出ないと聞いて真っ先に経費削減に走るケース。もちろん無駄は省くべきです。でも、売上に直結する経費まで削ると、かえって利益を減らすことがある。削減は「金額の大きさ」ではなく「売上への影響度」で判断する。ここを間違えると、体力だけ奪われます。

全商品を一律で値上げする

ケースによりますが、苦しいからと全商品を一律値上げするのは危険です。価格に敏感な商品まで上げると、客離れを招く。先に粗利率の悪い商品を特定し、そこから狙って手を打つ。一律ではなく、的を絞るのが鉄則です。

改善を一人で抱え込む

最初は半信半疑でも、第三者に数字を見てもらうと景色が変わります。社長は自社の商品に思い入れがあるぶん、採算の悪い商品を切れない。帝国データバンクの調査でも、外部の視点を入れた会社ほど収益改善が進みやすい傾向があります。客観的な目を一つ入れるだけで、判断が早くなります。

利益率改善でよく聞かれる疑問

Q1. 売上を増やすのは間違いですか?

A1. 間違いではありません。ただし粗利率が低いまま増やすと残りません。先に率を上げてから量を追うのが順序です。

Q2. 粗利率は何%あれば安心ですか?

A2. 業種で大きく異なります。同業平均との比較より、自社の前年比で改善しているかを見るのが現実的です。

Q3. 値上げすると客が離れませんか?

A3. 価値を言葉で説明できれば、離れにくいものです。全商品ではなく、採算の悪いものから段階的に行います。

Q4. 何から手をつければいいですか?

A4. まず商品別の粗利率を出すことです。見える化しないと、どこを直すかが決められません。

Q5. 経費削減は効果がありますか?

A5. あります。ただし売上に響かない経費から。影響度を見極めずに削ると、逆効果になることもあります。

Q6. 小さな会社でも粗利分析はできますか?

A6. はい。商品が数種類なら手計算でも十分です。むしろ少ないほど分析は簡単です。

Q7. 数字が苦手で分析が不安です。

A7. 試算表をもとに一緒に整理できます。どの商品が利益を生んでいるか、見える形にするところから始めましょう。

後悔しないための整理

  • 売上拡大より、まず粗利率の改善を優先する。
  • 商品・サービス別に採算を見える化し、足を引っ張る存在を特定する。
  • 値引きの常態化が利益を最も削っている。安易な値引きをやめる。
  • 経費削減は「売上への影響度」で判断する。

売上は伸びているのに残らない、と感じているなら、それは粗利率を見直すサインです。今の体質のまま売上を追っても、忙しさが増すだけかもしれません。まずは主力商品3つの粗利率を出してみてください。思っていた数字と違ったら、立て直しの余地は十分あります。一緒に見ながら、優先順位を整理しましょう。

経営の悩みを、一人で抱え込まないでください

岐阜の藤垣会計事務所にご相談ください

会社の数字・資金繰り・経営計画・事業承継・相続まで、社長の不安は一つひとつ違います。

経営計画を考える前提として、企業成長・資金繰り・人材・承継まで含めた背景知識を整理したい方は、先にこちらもご覧ください。

経営計画とは何か(背景知識の整理)

このテーマは、判断の切り口ごとに考え方が分かれます

以下では、代表的な視点を整理しています。

藤垣会計事務所はこちら

藤垣会計事務所
〒500-8367 岐阜県岐阜市宇佐南2丁目5-5
TEL:058-215-1030
メールでお問い合わせ:https://fujigaki-tax.com/contact

藤垣会計事務所