営業マンが売れない理由で悩む経営者へ|売上を伸ばす判断基準を解説
営業マンが売れない理由は、本人の能力よりも「仕組みと基準の欠如」にあると考えるべきである
営業マンが売れないのは、本人のやる気や才能のせいではありません。多くの場合、原因は「売れる型」が社内に無いことにあります。誰が何をどう話せば受注に近づくのか、その基準が言葉になっていない。だから頑張っている人ほど、我流で空回りします。売れる社員と売れない社員の差は、才能差ではなく「再現できる手順を持っているか」の差です。ここを取り違えると、採用しても教育しても数字は動きません。「うちの営業は根性が足りない」「もっと数を回せば売れるはず」。そう感じているなら、いったん手を止めてほしい。この記事では、営業マンが売れない本当の理由を分解し、原因が本人にあるのか仕組みにあるのかを見分ける判断基準を示します。読み終えたとき、次に何を直せばいいかが具体的に見えるはずです。
この記事のポイント
- 売れない理由は個人の能力より仕組みの問題が大きい。売れる型が言語化されていない会社では、優秀な人でも我流で消耗します。
- 原因は「行動量」「トーク」「案件選び」の3層に分けて診断できる。どの層が詰まっているかで打ち手がまったく変わります。
- 数字を見れば、犯人が人か仕組みかを切り分けられる。訪問数・提案数・成約率のどこが低いかで判断基準が決まります。
この記事の結論
- 売れない原因の多くは「型の不在」。まず売れる人の手順を言葉にする
- 行動量が足りないのか、話し方が悪いのか、案件選びがずれているのかを分けて見る
- 成約率が全員一律に低いなら仕組みの問題、一部だけ低いなら個人の問題
- 教育の前に、営業プロセスを数字で可視化するのが先
- 「売れる人だけが売れる会社」は、売れる人が辞めたら終わる
売れない理由を「個人のせい」で終わらせない
正直なところ、営業が伸びない会社ほど「あいつは向いていない」で話を止めがちです。でも、その結論は多くの場合、間違っています。
売れる型が無いから、全員が我流になる
岐阜のある建材卸の会社で、こんなことがありました。営業が5人いて、そのうち1人だけが飛び抜けて売る。社長は残りの4人に「なぜ売れないんだ」と言い続けていました。ところが売れているその1人に「どうやって売っているの」と聞いても、本人も「なんとなく」としか答えられない。ここに問題の核心があります。売れる手順が本人の頭の中にしかなく、社内で共有されていない。だから他の4人は、見よう見まねの我流で戦うしかない。これでは差が縮まるはずがありません。中小企業庁の調査でも、中小企業の生産性向上を阻む要因として「業務プロセスの標準化不足」がたびたび指摘されています。営業も例外ではありません。
「数をこなせば売れる」という思い込み
よくあるのが、成績が悪い社員に「とにかく訪問件数を増やせ」と指示するパターンです。実は、これが逆効果になることがあります。ある小売業の社長は、営業のテコ入れとして1日の訪問目標を8件から15件に引き上げました。件数は増えた。でも受注は減った。なぜか。1件あたりにかける時間が減り、提案が雑になったからです。お客さんからすれば「早口で商品を押し付けられた」だけ。数を追った結果、質が落ちて、かえって信頼を失っていました。行動量が悪いわけではありません。ただ、行動量だけを見て中身を見ないと、こういうことが起きます。
【判断基準】原因が「人」か「仕組み」かの見分け方
ここが一番大事なところです。犯人が個人なのか会社の仕組みなのかは、感覚ではなく数字で切り分けられます。判断基準は次の通りです。営業全員の成約率が一律に低い場合、それは個人の資質ではなく、商品・価格・トーク・ターゲット設定など仕組み側に原因があります。一方、成約率が特定の人だけ極端に低いなら、その人の話し方やヒアリング精度に課題がある可能性が高い。もう一つの軸は「どの段階で落ちているか」です。訪問数は多いのに提案まで至らないなら入り口のトークの問題。提案までは行くのに契約で落ちるなら、クロージングや案件選びの問題。ケースによりますが、この2軸で見るだけで、教育すべき相手と直すべき仕組みがかなり明確になります。
売れる会社に変えるための3つの視点
原因が見えたら、次は打ち手です。営業を「行動量」「トーク」「案件選び」の3層に分けて手を入れると、驚くほど整理しやすくなります。
売れる人の手順を「言葉」にする
先ほどの建材卸の話には続きがあります。売れている1人に、同行しながら細かく質問を重ねました。「最初に何を聞いている?」「見積もりはいつ出す?」「断られたとき何と返す?」。すると本人も気づいていなかった型が浮かび上がってきました。最初に予算ではなく困りごとを聞く。その場で結論を急がず、翌日に手書きの提案を持っていく。この2つだけを他の4人に真似させたところ、半年で全体の受注が2割ほど伸びました。派手な改革ではありません。ただ、頭の中にあった暗黙知を紙に落としただけ。それでも数字は動きます。大事なのは、完璧なマニュアルを作ろうとしないことです。売れる人の動きを全部書き出そうとすると、分厚い資料ができて、結局誰も読まない。要点は3つか4つで十分。「最初に予算を聞かない」「翌日に手書きで持っていく」。この程度の粒度のほうが、現場では真似されます。最初、社長は「そんな単純な話で変わるわけがない」と半信半疑でした。長年、根性論で回してきた人ほど、仕組みで変わるという発想に抵抗があります。変わったのは数字だけではありません。売れなかった社員の顔つきでした。それまで会議で下を向いていた一人が、「自分でもできるかもしれない」と口にするようになった。数字が動く前に、その空気が先に変わっていた。その一言が、社長にとっては受注2割増より大きかったのかもしれません。
営業プロセスを数字で見える化する
感覚で「あいつは頑張っている」「こいつはサボっている」と判断していると、必ずズレます。訪問数、提案数、成約数、この3つを社員ごとに並べるだけで、詰まっている場所がはっきりします。たとえば訪問数は平均の2倍なのに成約が最下位なら、それは怠けているのではなく、話し方かターゲット選びがずれている証拠。逆に成約率は高いのに数字が伸びない人は、単純に行動量が足りない。同じ「売れない」でも、原因はまるで違う。日本政策金融公庫の調査でも、業績が安定している中小企業ほど、業務の数値管理を習慣にしている傾向があります。数字は人を責める道具ではなく、どこを助ければいいかを教えてくれる地図です。
【判断基準】どの案件を追い、どの案件を捨てるか
売れない営業ほど、あらゆる案件に平等に時間を使います。これが落とし穴です。判断基準として押さえたいのは、案件を「受注確度」と「利益」の2つで仕分けることです。確度が低く利益も薄い案件を追いかけている限り、どれだけ働いても数字は積み上がりません。ある製造業の社長からは「うちの営業は、値切ってくる常連ばかり回って、新規に手が回っていない」という相談を受けました。よくあるのが、断られるのが怖くて、話しやすい相手にばかり通ってしまうケースです。営業を責める前に、追うべき案件の優先順位を会社として示せていたか。そこを問い直す必要があります。全部を取ろうとして全部を薄くするより、勝てる案件に絞る。この基準を持つだけで、同じ人員でも成果は変わります。実際、その製造業では追う先を新規と高利益案件に寄せ直した結果、訪問数を増やさないまま粗利が改善しました。営業本人も「回る先を決めてもらえて、迷いが減った」と話していたそうです。捨てる基準を会社が示すことは、社員を楽にする面もあるのです。
よくある質問
Q1. 売れない営業は、やはり向いていないのでしょうか?
一概には言えません。売れる型が社内に無ければ、素質のある人でも我流で埋もれます。まず手順を言葉にしてから判断すべきです。
Q2. 訪問件数を増やせば売上は伸びますか?
質を落とさない範囲なら有効です。ただし件数だけ追うと提案が雑になり、逆効果になる例も少なくありません。中身とセットで見てください。
Q3. 原因が個人か仕組みか、どう見分けますか?
全員の成約率が一律に低ければ仕組み、特定の人だけ低ければ個人の問題です。数字を並べれば切り分けられます。
Q4. 営業マニュアルを作れば解決しますか?
形だけの分厚いマニュアルは使われません。売れる人の実際の手順を短く言語化するほうが効果的です。3〜5項目でも十分機能します。
Q5. 成果が出るまでどのくらいかかりますか?
ケースによりますが、型の共有だけなら数か月で数字に表れる例もあります。すぐに劇的な変化を期待しすぎないことが大切です。
Q6. 数字での管理は、社員に嫌がられませんか?
責める道具に使えば嫌われます。どこを助けるかを見るために使うと伝われば、むしろ安心材料になります。目的の共有が鍵です。
Q7. 売れる社員が辞めたら、また元に戻りませんか?
その人の手順を言葉にして残していれば、影響は最小限に抑えられます。属人化を放置している会社ほど、退職の打撃が大きくなります。
Q8. 税理士に営業の相談をしてもいいのでしょうか?
数字を通じて営業の詰まりを一緒に見ることはできます。営業成績も会社の数字の一部です。まず現状を整理するところから始められます。
最後に整理しておきたいこと
- 売れない理由の多くは、個人の能力より「売れる型の不在」にある
- 原因は「行動量」「トーク」「案件選び」の3層に分けて診断する
- 全員一律に低ければ仕組み、一部だけ低ければ個人の課題
- 売れる人の手順を言葉にし、営業プロセスを数字で見える化する
- 勝てる案件に絞る判断基準を、会社として示す
営業の数字が伸びないと、つい人を責めたくなります。でも、その前に一度、売れている人の手順を紙に書き出し、社員ごとの訪問数と成約率を並べてみてください。犯人が人なのか仕組みなのかが、驚くほど見えてきます。岐阜で自社の営業の詰まりを数字から整理したいと感じたら、まずは現状を可視化する一歩から始めてみてください。
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このテーマは、判断の切り口ごとに考え方が分かれます
以下では、代表的な視点を整理しています。
- 経営計画の作り方を知りたい方へ →「経営計画 作り方とは何か」
- 数字の見方を深めたい方へ →「売上改善とは何か」
- 資金面から考えたい方へ →「資金繰り改善とは何か」
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