数字が苦手の社長の経営管理の方法で迷う経営者へ|会社を伸ばす判断基準
数字が苦手な社長は、全部を理解しようとせず「見る数字を3つに絞る」ことから始めるべきである
結論から言います。数字が苦手なままでも、会社の経営管理はできます。全部を理解する必要はありません。見る数字を3つに絞る。それだけで、迷いはかなり減ります。数字アレルギーの社長ほど、決算書を丸ごと読み解こうとして疲れ、途中で投げ出す。順番が逆です。まず「毎月ここだけ見る」という数字を決める。実は、これが一番効きます。「試算表を見ても意味が分からない」「税理士の説明が頭に入らない」「このやり方で本当に会社は良くなるの?」——岐阜でも、こう漏らす社長は珍しくありません。この記事では、数字が苦手な人でも続けられる管理の型と、どこから手をつけるかの判断基準をお伝えします。読み終える頃には、次の一手が見えているはずです。
この記事のポイント
- 全部を理解しなくていい。見る数字を3つに絞れば、数字が苦手でも経営判断はできます。
- 「続く仕組み」が最優先。難しい分析より、毎月同じタイミングで同じ数字を見る習慣のほうが会社を守ります。
- 苦手は外注していい。読むのが苦手なら、翻訳役を持つ。それも立派な経営判断です。
この記事の結論
- 数字が苦手なら、まず「現預金・売上・利益」の3つだけ毎月見る
- 細かい勘定科目の理解は後回しでいい
- 大事なのは精度より「毎月続くこと」
- 数字を「言葉」に翻訳してくれる相手を1人持つ
- 苦手を放置した結果の資金ショートが、一番怖い
数字が苦手でも、経営管理は「絞れば」回る
正直なところ、数字が得意な社長のほうが少数派です。職人からたたき上げた社長、営業一本でやってきた社長。多くは数字が後回しでした。それでも会社は回ってきた。問題は、規模が大きくなると勘だけでは危うくなる、という一点だけです。
「全部見よう」とするから続かない
ある建設業の社長は、顧問税理士から毎月20ページの資料を渡されていました。「見ても分からんから、机に積んだまま」。よくあるのが、これです。情報が多すぎると、人は見なくなる。数字が苦手な人にとって、詳細な資料はむしろ逆効果になります。この社長には、資料の中から「現預金残高」「今月の売上」「今月の利益」の3つだけ蛍光ペンで囲ってもらいました。見るのはそこだけ。すると、翌月から資料を開くようになった。理解ではなく、まず「見る」を習慣化する。順番はこれです。
数字が苦手な社長ほど、真面目な人が多い。だから「経営者なら決算書くらい全部読めなければ」と自分を追い込みます。その真面目さが、逆に手を止めてしまう。決算書には数十の勘定科目が並びます。それを一度に理解しようとすれば、誰だって嫌になる。大事なのは、理解の量ではなく、判断に使える数字を持っているかどうか。極端に言えば、勘定科目の名前を全部知らなくても、会社は守れます。3つの数字が前月より良いか悪いか、それが分かれば次の一手は打てる。まずは、そこで十分なのです。
まず見るべき3つの数字
数字が苦手な社長に、最初に見てほしいのは次の3つです。①現預金残高——会社が止まらないための命綱。②売上——事業の勢い。③利益——本当に儲かっているか。この3つを毎月、前月と比べる。増えたか減ったか、それだけ分かれば十分です。中小企業庁の調査でも、倒産の引き金の多くは赤字そのものより資金繰りの行き詰まりだと指摘されています。だからこそ、まず現預金なのです。難しい経営分析指標は、この3つが習慣になってからで遅くありません。
なぜ売上と利益を分けて見るのか。ここが、数字が苦手な社長ほど抜けやすい落とし穴です。売上が伸びていても、利益は減っていることがある。値引きで数を売ったり、仕入れ値が上がっていたり。ある飲食業の社長は「今月は忙しかったから儲かったはず」と思い込んでいましたが、実際に利益を見ると前月より30万円少なかった。忙しさと儲けは、別物です。売上だけ見ていると、この差に気づけない。だから利益も並べて見る。3つと言っても、そのうち2つは対で見ると意味が出てきます。日本政策金融公庫の資料でも、黒字倒産という言葉があるように、利益が出ていても現金がなくて倒れる会社は現実に存在します。売上・利益・現預金は、それぞれ違う顔を見せてくれるのです。
【判断基準】自分で見るか、翻訳役に任せるか
数字とどう付き合うかは、次の基準で決めると迷いません。ケースによりますが、目安として使えます。ひとつ、毎月試算表を開いて前月と比較できているか。できていないなら、仕組みが甘い。ふたつ、数字を見て「なぜこうなったか」を1つでも言葉で説明できるか。できないなら、翻訳役が要ります。みっつ、資金繰り表を3か月先まで見通せているか。見通せないなら、そこが最優先の弱点です。この3つで2つ以上が「できていない」なら、苦手を一人で抱えている状態。外部の手を借りたほうが、結果的に安く済みます。
「苦手」を放置せず、続く仕組みに変える
数字が苦手なこと自体は、恥ずかしいことではありません。実は、苦手を放置して見なくなることのほうが、はるかに危険です。ここでは、苦手なままでも回る仕組みの作り方を整理します。
数字を「言葉」に翻訳する相手を持つ
ある小売業の社長は、最初は半信半疑でした。「税理士に相談したって、また難しい話をされるだけだろう」と。ところが、試算表の数字を「先月より現金が80万円減ったのは、仕入れを早めに払ったからです」と日本語で説明してもらうようになってから、変わりました。「数字が、やっと会話になった」。この社長が漏らした一言です。数字が苦手な人に必要なのは、分析力より翻訳役です。粗利率何パーセントと言われても動けないが、「この商品は売れているけど利益はほとんど残っていません」と言われれば動ける。同じ内容でも、言葉にすると判断ができる。ここに大きな差が出ます。翻訳役は、必ずしも税理士でなくても構いません。数字に強い右腕の社員でも、経理担当でもいい。ただ、社内に適任がいないなら、外部の専門家を頼るのが現実的です。岐阜のような地域でも、月次で顔を合わせて数字を言葉にしてくれる相手を持つ社長は、判断が速い。「聞ける人がいる」という状態そのものが、数字が苦手な社長にとっての安心材料になります。
月に一度、30分の「数字の時間」をつくる
続ける仕組みの核は、時間を固定することです。毎月第一営業日の朝、30分。現預金・売上・利益の3つを前月と比べ、気になった点を一つメモする。たったこれだけを半年続けた製造業の社長は、「なんとなく不安」が「ここが弱い、と言える不安」に変わったと話していました。漠然とした不安ほど、人を消耗させます。数字を見る習慣は、不安の正体を教えてくれる。派手な成果ではありません。でも、夜に眠れる日が増えた。その変化のほうが、本人には大きかったようです。
数字が苦手な社長ほど、早めに相談していい
「こんな基本的なことを聞いたら恥ずかしい」。そう思って相談をためらう社長は多い。でも、帝国データバンクなどの調査を見ても、数字管理の弱さは決して珍しい課題ではありません。むしろ、苦手を自覚して早く動いた社長のほうが、資金繰りに追い込まれる前に手を打てています。数字が得意になる必要はありません。「見る数字を絞り、分からない所は聞ける状態」を作る。それが、数字が苦手な社長にとっての経営管理の完成形です。全部を一人で背負わないこと。それが、会社を長く続けるコツだと感じています。
よくある質問
Q1. 数字が苦手でも本当に経営管理はできますか?
できます。見る数字を「現預金・売上・利益」の3つに絞れば、苦手なままでも判断は可能です。全部を理解する必要はありません。
Q2. まず何から見ればいいですか?
現預金残高です。会社が止まる直接の原因は資金切れだからです。次に売上、利益の順で、毎月前月と比べるだけで十分です。
Q3. 試算表が全く読めません。どうすれば?
全部を読もうとしないことです。3つの数字だけ蛍光ペンで囲い、そこだけ毎月見る。理解より「見る習慣」を先に作るのが近道です。
Q4. 経営分析の指標も覚えるべきですか?
後回しで構いません。まず3つの数字の習慣が定着してからです。順番を守れば、指標も自然と意味が分かるようになります。
Q5. 数字を見る頻度はどのくらいが目安ですか?
月に一度、30分で十分です。毎月同じタイミングで前月と比較する。頻度より「続くこと」が大事で、週次まで細かくする必要はありません。
Q6. 税理士に基本的なことを聞くのは恥ずかしくないですか?
まったく問題ありません。数字管理が苦手な経営者は非常に多く、早めに聞いた社長ほど資金繰りで追い込まれずに済んでいます。
Q7. 一人で数字を管理し続ける自信がありません。
無理に一人で抱えなくて大丈夫です。数字を言葉に翻訳してくれる相手を1人持つ。それも立派な経営判断で、続けやすくなります。
Q8. 相談するタイミングはいつがいいですか?
「なんとなく不安」を感じた今です。資金が実際に苦しくなってからでは打ち手が減ります。早いほど選べる対策は多く残ります。
最後に整理しておきたいこと
- 数字が苦手でも、見る数字を3つに絞れば経営管理はできる
- まず「現預金・売上・利益」を毎月、前月と比べる
- 精度より「毎月続く仕組み」を優先する
- 数字を言葉に翻訳してくれる相手を1人持つ
- 苦手の放置による資金ショートが一番の危険。早めに動く
数字が苦手なことは、弱点ではありません。放置することだけが弱点です。まずは来月の第一営業日、30分だけ「現預金・売上・利益」を見る時間をつくってみてください。それでも一人では不安なら、数字を言葉に変えてくれる相手に、一度声をかけてみてください。動き出せば、不安は輪郭を持ち、必ず小さくなります。
経営の悩みを、一人で抱え込まないでください
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経営計画を考える前提として、企業成長・資金繰り・人材・承継まで含めた背景知識を整理したい方は、先にこちらもご覧ください。
このテーマは、判断の切り口ごとに考え方が分かれます
以下では、代表的な視点を整理しています。
- 経営計画の作り方を知りたい方へ →「経営計画 作り方とは何か」
- 数字の見方を深めたい方へ →「売上改善とは何か」
- 資金面から考えたい方へ →「資金繰り改善とは何か」
- 人材面から見直したい方へ →「人材育成とは何か」
- 承継まで見据えたい方へ →「事業継承とは何か」
- 健全な税務を理解したい方へ →「税務とは何か」
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