顧問税理士 何もしてくれないで悩む社長へ|失敗を避けて会社を守る判断基準
経営者が、現状の顧問契約に不満があり、見直すべきか判断したいなら、税理士の価値は申告作業だけでなく経営伴走の有無で大きく変わる
「顧問税理士が何もしてくれない」。この不満には、見直すべきサインが隠れています。判断基準は明確です。税理士の価値は、申告作業ではなく経営への伴走で決まる。記帳と申告だけなら、それは「作業の代行」。会社の数字を読み、資金繰りや利益改善を一緒に考えてくれるなら「経営の伴走」。両者の差は大きい。結論を先に言えば、不満を感じる今が、契約の中身を見直すタイミングです。ただし、変える前に確認すべきことがある。
実は、この相談は毎月のように寄せられます。月3万円や5万円を払い続けながら、「この支出に意味はあるのか」と心のどこかで思っている社長は少なくない。決して珍しい悩みではないのです。だからこそ、感情で契約を切る前に、一度だけ立ち止まって整理してほしい。その整理の仕方を、現場の具体例とともにお伝えします。
判断を誤らないために、先に押さえたい3つの視点
- 税理士の価値は「作業」ではなく「伴走」で測る。記帳と申告だけなら代行業、数字を経営に翻訳してくれるなら伴走。
- 「何もしてくれない」は原因が3つに分かれる。契約範囲・税理士の姿勢・社長側の遠慮。切り分けないと判断を誤る。
- 見直しは「比較」とセットで考える。今の事務所を責める前に、他の選択肢を知ると判断の精度が上がる。
まず結論として伝えたいこと
- 不満を感じる今が、契約を見直す絶好のタイミング
- ただし、いきなり乗り換えるのではなく「契約確認」と「ひと言伝える」を先にやる
- それでも数字の話が返ってこないなら、伴走できる事務所への切り替えを検討してよい
「何もしてくれない」と感じる本当の原因
実は、この不満には3つの異なる原因が混ざっています。ここを分けないと、判断を誤ります。原因が違えば、打つ手もまるで変わってくるからです。
契約に「伴走」が含まれていないだけ
あるサービス業の社長は「毎月お金を払っているのに、年に一度しか会わない」と嘆いていました。契約を確認すると、月額は記帳代行と決算申告のみ。面談や経営相談は別料金でした。
「払っているつもりの金額に、相談は入っていなかったんですね」。社長は静かにつぶやきました。これは税理士が怠けているのではない。契約がそうなっているだけ。よくあるパターンです。
特に多いのが、創業時に「とにかく安く」で契約を結んだケース。当時は申告さえできれば十分だった。けれど会社が大きくなり、資金繰りや利益の悩みが出てきた今、当時の契約のままでは支援が足りない。会社は成長したのに、契約だけが創業当時で止まっている。よくあるのが、この「契約の置き去り」です。
数字を「説明してくれない」のは別問題
一方で、試算表を渡すだけで意味を説明しない、質問してもはぐらかす。これは姿勢の問題です。中小企業庁も、経営者に寄り添う支援の重要性を繰り返し示しています。数字を経営判断に翻訳できない税理士なら、見直しを考える価値がある。
たとえば製造業のある社長は、毎月分厚い試算表を受け取っていました。けれど「で、結局うちは良いんですか、悪いんですか」と聞いても、「数字はこの通りです」としか返ってこない。数字は渡されている。でも、意味は渡されていない。これは作業としては成立していても、伴走としては成立していない状態です。
ちなみに、この製造業の社長はその後、月次で数字を読み解いてくれる事務所に切り替えました。すると半年で景色が変わった。「ここの外注費が利益を削っている」と気づき、内製化に踏み切ったところ、月の利益が約40万円改善した。数字そのものは前と同じだったのに、読み手が変わっただけで打ち手が見えた。「あの分厚い紙は、ずっと宝の持ち腐れだったんですね」。そう振り返っていました。
社長側が「聞いていない」こともある
正直なところ、社長が遠慮して何も聞いていないケースも多い。「忙しそうだから」「こんなこと聞いていいのか」。税理士は聞かれて初めて動くことも多いんです。まず投げてみる。それで景色が変わることもある。
ある小売業の社長は、半年間「何もしてくれない」と思い込んでいました。ところが思い切って「来期、店舗をもう一つ増やしたいんですが、資金的にどう思いますか」と聞いてみたら、税理士は一気に資料を作って具体的な試算を出してきた。「言ってくれれば、いくらでも動いたのに」。税理士の側もそう思っていた。つまり、不満の正体が「すれ違い」だったわけです。沈黙したまま不満をためる前に、まず一度ぶつけてみる価値はあります。
顧問契約を見直すかどうかの判断基準
不満があるからといって、すぐに乗り換えるのが正解とは限りません。ケースによりますが、契約を変えるには手間もコストもかかる。だからこそ、感情ではなく基準で判断したい。ここでは見極めの軸を3つに絞ります。
月次で数字を一緒に見ているか
理想は、毎月の試算表を前に「先月はここが伸びた」「ここが資金を圧迫している」と話せる関係です。年1回の決算報告だけなら、経営には間に合わない。ここが第一の基準です。
なぜ月次が大事なのか。決算後に「赤字でした」と言われても、もう打つ手はほとんど残っていないからです。月次で見ていれば、3か月目に「このままだと利益が薄い」と気づき、仕入れや経費を調整できる。手遅れになる前に舵を切れるかどうか。その差を生むのが月次の伴走です。実際、月次面談を始めただけで「来期の着地が読めるようになり、夜眠れるようになった」と話す社長もいます。
質問への反応で見極める
具体的な経営課題を一つ相談してみてください。「資金繰りが不安だ」「利益が残らない」。数字をもとに何か返ってくるか。沈黙や「社長次第」で終わるなら、伴走は期待しにくい。
逆に、良い反応とはこういうものです。「資金繰りが不安」と伝えたら、「では直近3か月の入金と支払いのズレを一緒に見ましょう」「この借入は条件変更の余地がありますよ」と、次の一手が返ってくる。問いに対して、行動の選択肢が返ってくるかどうか。これが見極めの分かれ目です。
料金と支援内容が見合っているか
安い顧問料で提案ゼロなら、実は割高かもしれません。逆に、しっかり伴走してくれるなら多少高くても価値はある。比較すべきは金額単体ではなく、支援の中身です。迷っているなら、他事務所の話を聞いて比べてみるのがおすすめです。
ここでよくある失敗が、「とにかく安いところへ」と料金だけで乗り換えてしまうこと。月1万円下げた結果、面談も提案も一切なくなり、結局また「何もしてくれない」と悩む。これでは振り出しに戻ってしまう。安さは魅力的ですが、支援が消えれば本末転倒です。比較するなら「月いくらで、何をしてくれるのか」をセットで並べる。そうして初めて、今の契約が高いのか安いのか、本当の答えが見えてきます。
自社のステージに合っているか
もう一つの軸が、会社の今のステージとの相性です。創業期なら申告中心でも困らない。けれど従業員が増え、借入が膨らみ、後継者の話が出てくる段階になると、必要な支援は変わります。資金繰り、経営計画、事業承継、相続。どこに不安があるかで、求める伴走の中身も変わる。今の税理士がそのステージに付き合えるかどうか。ここを冷静に見ておくと、見直しの判断がぶれません。
顧問税理士への不満で相談前に多い質問
Q1. 何もしてくれないのは普通ですか?
契約内容によります。申告のみの契約なら相談がないのは想定内。伴走を求めるなら契約自体の見直しが要ります。
Q2. まず何を確認すべきですか?
今の契約に何が含まれているかです。面談や経営相談が入っているか、料金表で確認してください。
Q3. 相談したいと伝えていいですか?
構いません。むしろ伝えるべきです。聞かれて初めて動く税理士も多く、それで解決する例もあります。
Q4. 月次面談は必要ですか?
経営に数字を活かすなら有効です。最低でも数か月に一度は数字を一緒に見る機会があると安心です。
Q5. 提案がないのは能力不足ですか?
一概には言えません。契約範囲外の可能性も。範囲内なのに反応がないなら、姿勢の問題と考えます。
Q6. 見直すと費用は上がりますか?
伴走を加えれば上がることが多いです。ただ、その分の価値があるかで判断します。
Q7. 他の事務所に相談だけできますか?
できます。比較することで、今の契約が適正か見えてきます。多くの事務所が初回相談を受けています。
Q8. 乗り換えると手続きは面倒ですか?
会計データの引き継ぎが中心です。決算後など区切りの良い時期なら、負担は思うより小さく済みます。
Q9. 安い事務所に変えれば解決しますか?
料金だけで選ぶと支援が消え、再び不満が出がちです。「月額と支援内容」をセットで比べるのが安全です。
見直す前に整理しておきたいこと
- 税理士の価値は申告作業ではなく、経営への伴走の有無で決まる
- 「何もしてくれない」は契約範囲か姿勢か遠慮かを切り分けて判断する
- 料金単体でなく、支援の中身と自社のステージに見合っているかで考える
顧問税理士は、会社の数字を毎月見られる数少ない存在です。「何もしてくれない」と感じるなら、その関係を放置しないでください。まず契約を確認し、伝えるべきは伝える。それでも変わらないなら、見直す段階です。
もし今、「数字の話を一度きちんとしてみたい」「今の契約が適正か誰かに見てほしい」と感じているなら、それはもう見直しのサインです。手遅れになる前に動けるのが、月次で伴走する関係の強み。比較するだけでも、今の立ち位置がはっきりします。一人で抱え込んで悩む時間を、前に進む時間に変えてほしい。会社の数字は、読み手が変われば見える景色も変わります。まだ間に合ううちに、その一歩を。
経営の悩みを、一人で抱え込まないでください
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経営計画を考える前提として、企業成長・資金繰り・人材・承継まで含めた背景知識を整理したい方は、先にこちらもご覧ください。
このテーマは、判断の切り口ごとに考え方が分かれます
以下では、代表的な視点を整理しています。
- 経営計画の作り方を知りたい方へ →「経営計画 作り方とは何か」
- 数字の見方を深めたい方へ →「売上改善とは何か」
- 資金面から考えたい方へ →「資金繰り改善とは何か」
- 人材面から見直したい方へ →「人材育成とは何か」
- 承継まで見据えたい方へ →「事業継承とは何か」
- 健全な税務を理解したい方へ →「税務とは何か」
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