富裕層向け節税封じ
過去の数値から仕事をする税理士
数値を活かして過去と未来をつなげる
岐阜市の未来会計士の藤垣寿通です。
毎日ブログ1240日目
おはようございます!
今週で年内の営業が終わります。
2019年もあっという間に
過ぎ去っていきますね。
あなたにとって、
今年はどんな年でしたか?
目標達成できましたか?
さて、
少し前に発表された与党税制改正大綱について
触れたいと思います。
税制改正大綱とは、
与党が来年度の税制改正について
まとめたもので、
基本的にはこのまま国会に提出され
成立になっていくものです。
国が、というか政府が
何をどう考えているかが
見えてくるので面白いですよ。
自民党のホームページに掲載されています。
ご興味がおありの方はどうぞ。👇
でね、
今日お話しするのは、
ずいぶん前から改正のうわさが出ていた
海外不動産の話しですよ。
富裕層の一部が所得税の節税?として
活用されていたようですね。
どんなスキームだったのか、
簡単に説明します。(簡単が難しい・・)
所得税の税率が50%の高額所得者Aさんが、
アメリカの不動産を購入しました。
その不動産を貸して賃貸収入を得ます。
日本人が得た所得はアメリカであろうが
日本の所得税がかかりますので、
確定申告をするんですね。
(アメリカでも申告して、
海外で納めた税金は税額控除で引かれます)
でね、
アメリカなどの海外の不動産事情って
日本と大きく違うんです。
まず、土地が安くて建物が高い。
アメリカだと新築が少なく
中古が市場の多くを占めています。
新築のための建築確認に
1年近く?時間がかかるとか。
しかも中古の物件の価値が減らないのです。
日本のように木造で高湿な気候だと、
耐用年数が20年や22年となってます。
海外だと築50年でも普通に住めるみたいですね。
ということで、
例えば築30年の建物を購入すると、
不動産所得の計算上は中古の耐用年数を
適用するために、
非常に短い年数で償却(経費にする)します。
だから1年間の不動産所得の計算をすると、
賃料収入に対して、
経費となる減価償却費が
ものすごく大きくなるのです。
つまり大赤字の決算になるというわけ。
この赤字は他の所得と相殺できるので、
50%の高い税率の所得が
下げられるという仕組みなのです。
何年かしてから売却したとしても、
不動産価値があまり下がってないので
同じような価格で売却できます。
その売却については譲渡所得の長期に該当すれば、
20%で済んでしまうんです。
50%の税率部分の恩恵を受けて、
処分するときは20%で済めば、
その差額が手元に残るのです。
って理解できました??
すみません、
せめて図解できれば
分かりやすいと思いますが
文章だけだと難しくなりますね。
概算でまとめたので、
税率とか適当です。
何となくご理解ください(^^)
そして肝心の税制改正大綱です。
この節税が封じられることになりました。
令和3年からは、
赤字になった不動産所得の赤字部分は、
他の所得と相殺できなくなるのです。
『国外中古建物の不動産所得にかかる損益通算等の特例を次のとおり創設する。
個人が、
令和3年以後の各年において、
国外中古建物から生ずる不動産所得を
有する場合において
その年分の不動産所得の金額の計算上
国外不動産所得の損失の金額があるときは、
その国外不動産所得の損失の金額のうち
国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は、
所得税に関する法令の規定の適用については、
生じなかったものとみなす。』
(税制改正大綱より)
購入を検討していた人は
危なかったですね~。
買ってしまった人は、
今年と来年までは使えます!
最近では大手の不動産会社さんが
大々的にアメリカの中古不動産を
販売し始めましたから、
国税側として手を打ってきたのでしょうか。
イタチごっこといいますか、
法の隙間を狙ったものは
どこかで封じられる可能性があるので
おススメしません。
真面目にやってる人が
馬鹿を見ない世の中であってほしいものです。
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